ぼくの15年
ぼくの名前はラッシー。あまり知らない人間はぼくのことを、 犬とか、ワンちゃんとか、ミニチュアダックスフンドとか言うね。 生まれも育ちも金沢さ。ペットショップで引き取られてから、 ずっと金沢の山川家に住んでいる。遠い祖先はドイツという国で生まれたみたい。 お気に入りの場所はリビングの座椅子に置かれた座布団の上。 外に出るとしても家の周りがいいな。車っていうのがどうも苦手なんだ。 家族で旅行に行くからと、車でどこか遠くへ連れて行かれそうになったんだけど、 いやだったから駄々をこねたんだ。そうしたら、ペットホテルに連れて行かれた。 ぼくみたいな寂しい犬の泣き声がずっと聞こえてきて、一睡もできなかったよ。 その時のことは今も思い出したくはない。嫌がらせにウンコをたくさんしてやった。
ぼくは浅野川沿いを散歩するのが大好きだ。水面がキラキラとして、春は桜がきれいなんだ。 仲間ともよく会えるしね。で、仲間を見て思ったんだ。 どうして、他の犬はもっと足が長かったり、巻毛だったりするんだろう。 ぼくは足が短いから走りも速くない。胴が長いから腰が痛くなる。 どうしてぼくはこんな体型なのか、それがずっと人生の疑問なんだ。
今日は15歳の誕生日。この日を迎えられてよかったな。ぼくはもう歳なんだ。 去年は肝臓が悪くて入院しちゃった。どうも最近体調がよくなくてね。 昔は散歩に出たくて仕方なかったけど、今は調子が良いときだけでいいんだ。 若い頃は野良に憧れたよ。一人で、首輪なしに、自由気ままに歩き回りたかった。 金沢の街や、日本海の砂浜を駆け回りたかった。かわいい女の子に声をかけたかった。 でも、怖い人間たちに会うかもしれない。車も怖い。遠くに見える山まで行けば 人間はいなさそうだけど、いつご飯にありつけるかわからない。 雪が降る中、外で寝るのは大変そう。なんてぐずぐず考えて、家出の機会を逃しちゃった。
でも、山川家で暮らせてよかったな。 優しい人間にいつも囲まれていたし、おいしいご飯をたらふく食べさせてもらった。 山川家のヒロコというのはどうも変わっていて、ぼくの作品を人間に作らせてばかりいる。 家には100点以上ぼくの作品があるんだ。こんなに人間に作品を作ってもらった犬は、 世界のどこにもいないんじゃないかな。これがぼくの自慢なんだ。 ぼくがいなくなっても、作品を見てぼくを思い出してくれるじゃない。 最後の作品はぼくの剥製で決まり。なんてね。 いつかラッシーくん美術館ができたらいいな。
それにしてもいい15年だった。 もっと作品を見たいからもうちょっと長生きしたいな。 あ、誕生日プレゼントはソーセージか、マグロの刺身がいいな。
ラッシー君作品集の活動歴
Activity History of Lassie’s Works